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2010.09.05 (Sun)

高齢者の送迎で注意呼び掛け 介護現場も細心注意

高齢者の送迎で注意呼び掛け 介護現場も細心注意

わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。

2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。

わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。

人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。

そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。

介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。

今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。

島根県松江市内で8月、通所介護施設の利用者を送迎する軽乗用車が道路脇のコンクリート壁の階段に衝突し、同乗していた94歳の女性が亡くなる事故があった。デイサービスなど介護施設利用者の送迎に2種免許は必要ないが、どこでも起きかねない事故とあって警察は安全運転の徹底を呼び掛け、山陰両県の事業所も事故防止に細心の注意を払い、対策を講じている。

軽乗用車がぶつかったコンクリート製階段は高さ約60センチ。当初は単純な自損事故と思われた。亡くなった女性はシートベルトを着用しており、事故直後も一人で歩けた。ところが内臓を傷付けていたため、容態が急変したという。

島根県警によると、県内で施設の送迎中に高齢者が亡くなる事故は初めて。松江署は「身体的にリスクが高い高齢者を乗せる際は、より慎重に運転しないといけない」と指摘。安全運転管理者を置く必要がない小規模の事業所向けにも安全運転講習を検討している。


通所介護などの送迎は自家用輸送とみなされ、道路運送法が適用されず2種免許は必要ない。大半の施設で介護職員が利用者の送迎業務も行う。「送迎は一番緊張する瞬間。送り届けるとほっとする」。同市内のある通所介護施設の職員はこう漏らした。

細心の注意を払うとはいえ、最終的には個人の運転技術に委ねられているのが実情。運転専門の職員を雇用できる事業所はわずかだ。もし送迎に2種免許が必要になると人件費が増え、経営が成り立たなくなると関係者は異口同音に指摘する。


鳥取県内でも現状は同様だが、事業所それぞれに工夫を凝らしている。

国際的な品質管理規格ISO9001を取得しているデイサービスセンターさかい幸朋苑(境港市誠道町)では、運転者と介助員の2人体制で送迎を行う。榧野利治所長は「たくさんの利用者の命を預かっているため、すごく気を張っている。絶えず気を付けて観察している」と話す。

別の関係者は「介護職員が運転した方が、利用者への気配りが利く面がある」という。

日吉津デイサービスセンター(日吉津村日吉津)でも2人体制で送迎。毎朝の朝礼で県内外の事故を報告しているほか、万一に備え、家族や関係機関との連絡、対応法を確認している。

全ての記事を表示する リンク元・移動先ランキング 最終更新日:2015/02/26

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